税関からワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)で規制されている野生動植物に該当する可能性があるから確認してくれって連絡がきたにゃ!なんだか嫌な予感がするにゃ~
ああ・・ちょっと嫌な予感がするね。準備せずに輸入してしまったのなら輸入は難しいかもしれないよ。でも確認したら輸入出来たケースもあるからあきらめずに確認してみよう。
この確認のポイントは取引が制限されている商品かどうかをハッキリさせることだよ。商品の学術名を確認するところからスタート。学術名がわかれば規制されている商品か調べられるよ。商品を廃棄することにはほとんどないから焦らずに対応していってね。
税関にワシントン条約の確認が必要と言われたら・・
個人輸入で税関や通関業者に
商品はワシントン条約の確認が必要なので連絡させてもらいました
と言われたときは・・・
ちょっとピンチかもしれません
「ワシントン条約」は、国際間の商業目的の過度の取引による種の絶滅を防ぐ目的で設定されています。多くの動植物に適用され、該当する動植物の取引では個人であってもCITES(サイテス)という取引の書類が必要になります。
税関の視点としては
税関の視点
ワシントン条約の規制違反の可能性
条約規制のであり慎重に審査
白黒確実になるまで輸入許可は絶対にしない
輸出者と経済産業省に確認を!
という視点でみています。
ワシントン条約ってなに?
ワシントン条約は【絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約】といい多くの動植物にかかる条約規制です。養殖が困難な動物の多くは規制の対象になっています。
どういう商品に注意が必要?
身近なところでは化粧品やサプリメントの配合成分としての「サボテン」「アロエ」や「バニラ」。漢方薬として「トラ」「熊」「サイ」等を使用したもの。毛皮、革製品として「ワニ」「ヘビ」などを使用した商品の輸入でよく目にします。
輸入する方法はあるの?
絶滅する可能性が高い動植物の順に付属書I,II,IIIとランク付けされておりランクにより国際取引の難度が変わります。もちろん商取引(通販含む)を出来るものもあります。ただし取引をするためには輸出国の【CITES輸出許可書】が必要になります。個人通販であっても特例は適用されません。
輸入時にはCITES原本の提示が必要ですが、希少な商品の場合更に輸入国の輸入承認が必要になります。輸入承認は経済産業省の承認になります。
輸入商品のワシントン条約確認方法
具体的な対応方法
具体的な対応手順は以下の通りです。
パターンは2つのパターンになります。
CITESを取得していなくても輸入できるパターン
①商品に使われている野生動植物の学術名を調べる
※購入先に学術名(ラテン語)を確認する
②学術名がわかれば経済産業省のHPリンクより規制商品かどうかを調べる
③規制商品でない場合学術名を税関に伝える(輸入可能)
CITESを取得しておらず輸入出来ないパターン
①商品に使われている野生動植物の学術名を調べる
※購入先にラテン語の学術名を確認する
②学術名がわかれば経済産業省のHPリンクより規制商品かどうかを調べる
※CITES必要と判明
A:輸入困難の為返送を申し入れる
B:輸入困難の為商品の権利を放棄する
C:一旦返送し現地でCITESを取得し輸入する
CITESを取得していないパターンを詳しくみていきましょう。
ワシントン条約で・・と確認を求められた時の対処方法はとにもかくにも該当する商品の学術名を調べるところから始まります。購入元に
I would like to know the scientific name of this product?
この商品の学名を知りたいのですが?
こんな感じで聞いてみましょう
手順は以下のような流れになると思います。
A/B二つの商品を購入
A:Leather Handbag
B:Leather wallet
を購入。
税関よりワシントン確認・・・
税関「ワシントン条約に該当していないですか?」
販売先に確認
I would like to know the scientific name of the leather used in this wallet?
この商品の学名を知りたいのですが?
販売先から回答
販売者に学術名を確認すると
A:Bos taurus
B:alligator mississippiensis
と回答が来た
データベースで学名を確認
学術名のデータベースはこちら
PDFを開き学名を検索します
A:はヒットせず
→ワシントン条約該当せず
税関へ学名を伝えて輸入可能
(業者とのやり取りも提出します)
BはCITES該当のため以下のようにヒットします
→ワシントン条約該当
該当品の対応方法はこの後解説します。
データベースで学名がヒットしなかった商品は輸入することが可能です。税関から直接連絡が来ている場合は、はがきに学術名を記載し返送します。尚メールなどでやり取りをしているのであればメールも同封するのが良いでしょう。通関業者から連絡が来ている場合は、通関業者に学術名を伝えます。
これで輸入可能です!
データベースで各術名がヒットした場合はワシントン条約該当品になり以下の対応となります。
ワシントン条約該当商品の場合
選択できるのは3つの方法
①商品を返送する
②商品を廃棄する(手放す)
③商品を現地に返送後、現地でCITESを取り輸入する
①商品を返送する
本来CITESの取得をしていない商品でも返送(積戻し)することは可能です。税関若しくは通関業者に返送の意思を伝え返送の手続きをしてもらいましょう。尚返送費用はかからないことが多いですが、業者により対応が変わることがあります。
B:商品を廃棄する(手放す)
商品の返送に費用が掛かかる場合で商品代金が安い場合は、商品を手放し廃棄してもらう事も可能です。税関に対しては任意放棄書を提出。通関業者に対しては滅却同意書を提出して処理を依頼します。尚商品の廃棄に対しても費用が掛かる業者もありますのでご注意ください。
C:商品を現地に返送後、CITESを取得し再度輸入する
商品が希少商品でどうしても手に入れたい場合はこの方法もあります。販売者と交渉は必要ですが一旦商品を返送し現地でCITESを取得してもらう。その後もう一度日本に送ってもらうという方法です。CITES取得の費用がUSD100.00程度は掛かります。CITESが必要な商品は基本的に販売者が注意して販売すべき商品です。したがって交渉次第で運送費や取得費を負担してもらえることもあります。
CITESを予め取得されている場合は以下の手順で輸入します。
CITESを取得しており輸入できるパターン
パターンは2つあり輸入承認が必要な場合と不要な場合に分かれます。扱う商品により輸入承認が必要かどうか分かれますので経済産業省へ確認をします。
パターンA(輸入承認不要)
税関又は通関業者へCITESを提出する
輸入許可となる
パターンB(輸入承認が必要)
経済産業省へ輸入承認の申請を行い取得する
税関又は通関業者へCITESと輸入承認を提出する
輸入許可になる(輸入承認は返却される)
経済産業省へ輸入承認を返送する
ワシントン条約にひっかかりやすい商品
ワシントン条約に該当しやすい商品は以下のようなものがあります。
種類 | 注意動植物 |
化粧品 サプリメント | ラン、アロエ、バニラ、サボテン |
漢方薬 | トラ、クマ、サイ |
毛皮、敷物 | トラ、ヒョウ、オオカミ、クマ、シマウマ |
革製品 | ワニ、ウミガメ、ヘビ、トカゲ、ダチョウ |
ユリ科アロエ属は一部の適用除外を除いて全種ワシントン条約に指定(アロエベラは除外)
ラン科は一部の適用除外を除いて全種ワシントン条約に指定
ワニ目全種がワシントン条約に該当
等
特に化粧品やサプリメントが隠れCITES規制でよくひっかかります。
まとめ
税関からワシントン条約の確認連絡がきたとき
・購入先に学術名を確認
・学術名をCITESのデータベースで確認
→データベースでヒットせず:輸入可能
→データベースでヒット:返送、廃棄
ワシントン条約での税関トラブルの場合は、最終輸入出来ないことが多いです。購入時にワシントン条約の知識を持っていることでこれらは避けることができるトラブルです。
同様にワシントン条約だけなく、税関規制は最初に理解しておけば殆ど避けれます:個人輸入規制のまとめ「税関でひっかかる商品と確認方法」も参考にしてください。
税関にひっかかった時シリーズ
(税関への回答方法を纏めています)
【商品価格の確認】3つのパターン
【商品の説明】の2つのパターン
【食品衛生法】への回答方法
【ナイフ/刀剣類】の対処方法
【CBDオイル】の対処方法
【美顔器/脱毛器】の対処法
【原産地証明書】の対処法
【ワシントン条約】の対処法
【税関検査】の心構え
【個人使用確認】の回答法と対処法
【コピー商品、偽物】に対する対処法