個人輸入の商品規制まとめ:税関でひっかかる商品と回避方法

海外通販の税関ルール

ミー哉
ミー哉

個人輸入は商品の規制ルールがあるけど多すぎてわかりづらいにゃ

いろは
いろは

そういえば商品毎の細かいルールは解説したけど、全体の規制ルールについてまとめてないね。税関でひっかかると精神的につらいから全体ルールを理解しておこうか!

この記事では以下の内容が理解できます

  • 個人輸入商品が税関でひっかかる理由
  • 税関で引っかかる商品の種類
  • ひっかかった商品がどうなるのか
  • ひっかからない為にやるべきこと

もしも既に税関でひっかかってしまった場合【まとめ】個人輸入で税関にひっかかる理由は??&対処法ありの記事を参考にしてください。理由と対処法のリンクがあります。

個人輸入商品が税関でひっかかる理由

個人輸入の商品が税関で引っかかる理由は多くが以下のケースです。

・商品の値段に不明な点がある
・商品を輸入する「数」に制限がある

・商品が「ニセモノ」の可能性がある

商品の値段に不明瞭な点がある

1.1商品の値段が不明(不明瞭)なとき

海外通販は個人輸入と同じです。商品の値段や種類によっては税金がかかるものがあります。税金の計算には商品の種類と値段が必要になります。それがわからない時が「税関でひっかかる」ときの一つです。プレゼントやおまけなど購入していない商品にも「商品」の値段をつけなければなりません。

商品の値段の確認でよくひっかかる例

  • 手作り友人からのプレゼントで商品の値段がわからない
  • 購入した商品におまけがついていて値段の記載がない
  • 海外の販売者が税金回避のために値段を抑えた明細で発送した
  • ハンドメイド品で値段がわからない


等のケースがあります。多いパターンとしては、国際郵便では商品がハンドメイドなどで税関職員がみて値段がわからない時に税関でひっかかります。国際宅配便の場合は、海外から送られてくる商品の明細に商品値段の記載がないもの(おまけやサンプル)がある場合に税関でひっかかります。

価格での税関トラブルや対応方法については別記事でまとめることにします。(現在建設中)

商品を輸入する「数」に制限がある:他法令の規制を受けるもの

1.2.商品を輸入する「数」に制限がある

税関でひっかかるケースでわかりづらいのが「数」の制限がある商品です。制限がある商品は個人輸入でも1個も輸入出来ない商品もあります。すべてを理解するには世の中のすべての商品を分類し、規制があるかを調べなければなりません。これはかなり複雑な作業です。

※これを把握しチェックするのが通関士や税関職員の職務です!(^^)!

プロのようにはいきませんが個人輸入で取引される商品に限定すれば大枠の理解ができます。

そこで

個人輸入をした時に「なんの問い合わせもなく届く商品」
というくくりで整理します。

海外通販(個人輸入)で注意したい規制と商品は

  • 薬機法:化粧品、医薬品、医薬部外品、医療機器
  • 食品衛生法:食品、食器、調理器具
  • 植物検疫法:植物性食品、植物
  • 家畜伝染予防法:加工肉
  • 銃刀法:ナイフ

です。その他に関税法の輸入禁止品に該当するものやワシントン条約で規制されている「希少な動植物を使用した製品」もあわせて理解しておくとよいでしょう。

個人使用に絞ってもやはり複雑ですね(-_-;)

次の章で考え方と一覧にまとめます。

商品が「偽物」の可能性である

1.3.「ニセモノ」の商品の可能性がある

購入した商品が「ニセモノ」ではないかと疑われているケースも税関でひっかかるケースです。「ニセモノ」も1.2で記載した関税法の輸入禁止品の一部です。「ニセモノ」が税関でひっかかるケースは個人輸入では大きな割合を占めています。(その為トピックとして抜き出しました)

税関がニセモノを判断する手順と流れは概ね以下の通りです。

  1. 「ニセモノ」被害を受けている権利者が税関に対し輸入時の輸入差し止めを求める
  2. 権利者は「ニセモノ」と「ホンモノ」の違いの特徴を税関に伝える
  3. 税関は輸入時に「ニセモノ」らしきものを見つけた段階で輸入を差し止め
  4. 輸入者に連絡をし、権利者に対しニセモノの確定を求める
    ※ニセモノとホンモノの違いの特徴については公表されていません

という方法です。3の段階が税関でひっかかった段階です。
商品が「ニセモノ」であった場合、自分が騙されて買った商品でも輸入することはできません。権利者が許可しない限り返送もできず商品を放棄することを求められます。また「ニセモノ」とわかって輸入するのは犯罪になります。

申し立てがされていないケースでも税関自らが積極的に動く案件もあると思われます。例えば東京オリンピック関連の商品は2020-2021年に大量に摘発や没収がされ報道がされました。

いろは
いろは

↓注意点だよ↓

※注意)「ニセモノ」と「ホンモノ」の比較のために「ニセモノ」を個人輸入されている人がいます。ブログやYoutubeでも見かけますが「ニセモノ」と分かって輸入することは商標権侵害で犯罪になります。権利者が訴えれば必ず負けますのでくれぐれもご注意を!

関連記事(個人使用で買った偽物も税関没収)  
関連記事(偽物が多いブランド一覧)
関連記事(海外通販で偽物に騙されない買い方)

税関でひっかかる商品

税関でひっかかる商品の考え方

2.1.税関でひっかかる商品の考え方

税関でひっかからないようにするためには商品の規制を知ることが大切です。「ニセモノ」については上記リンクの「ニセモノを買わない方法」「ニセモノが多いブランド」の記事を参考にしてください。権利者が税関に「ニセモノ」被害にあい輸入時のチェックを依頼をしている商品の一覧があります。

商品の規制をすべて覚えるのは大変なのでまずは考え方を理解します。下の表の赤と黄色の文字、背景のものはトラブルになりやすい商品(規制がかかる)です。

この表に具体的な商品を割り当ててみます。
2枚の表に分かれますのでまずは1枚目禁止品の一覧です。

表の2.輸入禁止品(所持も輸入も禁止)

上記の表の2.輸入禁止品はもちろん輸入できません。そして返送もできません。意図的に持ち込もうとすることは犯罪として捜査されます。これらの商品は輸入禁止商品でもありますが国内で所持すること自体が禁止されている商品です。
輸入禁止品についての詳細記事はこちら

表の3.1輸入禁止品(動植物関連品)

上記表の3.1こちらも輸入禁止品です。植物性の商品、動物性の商品の中に禁止品が入っています。海外通販(個人輸入)で動植物の禁止品を知らずに買うことは少ないと思います。ただし誤って買ってしまい禁止品であれば廃棄処分になります。

すべての植物性、動物性商品が禁止品というわけでは検査を受ければ輸入できるものもあります。また検査が不要なものもあります。もう少し詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
植物性商品の個人輸入詳細記事はこちら
動物性商品の個人輸入詳細記事はこちら

表の3.2輸入禁止品(医家用医療機器)

上記表の3.2も輸入禁止品です。医家用の医療器具とはお医者様が使用する医療機器です。一般的にお医者様以外は使用しない医療器具であり、これらの商品は日本の法律では宣伝、広告も禁止されています。そのため日本のWebサイトで広告をみかけることはありません。ただ海外の法律は異なりますので海外のサイトでは宣伝、販売されている可能性もあります。そのため医療機器を海外通販で購入する場合は注意が必要です。商品名を検索し日本のサイトで商品の広告記事がない商品は医家用医療機器にあたり輸入禁止の可能性が高い商品です。
※医療機器についての詳細記事はこちら

最後に「数量限定で輸入できる商品」や「規制がない商品」についてです。

表の4.数量限定で輸入できる商品

上記表の4.は数量限定で輸入できる商品です。ただし個人使用限定という条件が付きます。個人使用、数量限定の条件から外れると輸入できない商品です。したがってよく税関でひっかかる商品ともいえます。この項目の商品の種類と数量を把握することでトラブルなく輸入することができます。

制限商品の輸入可能数量概要

  • 化粧品:1品目24個以内
  • 医薬品:1カ月もしくは2カ月分以内
  • 医薬部外品:2か月分以内
  • 医療機器:1個以内
  • 体外用診断薬:2か月分以内
  • 食品:10Kg以内
  • 調理器具:1個以内

※上記は概要になります。詳細を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
化粧品の個人輸入詳細記事はこちら
医薬品の個人輸入詳細記事はこちら
食品の個人輸入詳細記事はこちら
ナイフは輸入可能ですが銃刀法に該当するナイフは輸入出来ません。
ナイフの個人輸入詳細記事はこちら

表の5.は個人使用であれば大きな制約なく輸入できる商品

No5に残った商品は基本的に個人輸入なら制約なく輸入できる商品になります。

注意)※この解説では個人輸入として売買されにくい商品は除外しました。例えば化学物質、農薬、毒物、劇物、砂糖、肥料、現金、鯨、まぐろ、ダイヤモンド、石油、石綿等々他の規制がかかる商品は存在します。

税関でひっかかりやすい商品一覧表

2.2.税関でひっかかりやすい商品一覧表

法律カテゴリー税関確認でひっかかるケース
1関税法偽物(商標権侵害)偽ブランド品
2大麻関係幻覚成分の混入した大麻製品
3植物検疫植物性商品生のコーヒー豆
ハーブ
スパイス
ゴマ
4動物検疫動物性食品ジャーキー
ハム
〇〇コンソメ
カレーなど肉が入った缶詰
5銃刀法武器に該当する刃物・刃渡り5.5センチ以上の剣
 ダガーナイフ
 ダイバーズナイフ
 スローイングナイフ
 スライディングナイフ
・あいくち(ドス)
・飛び出しナイフ
6薬機法化粧品1品目24個以上の化粧品
医薬品、医薬部外品1カ月若しくは2カ月以上の医薬品
家庭用医療機器1個以上の機器
体外用診断薬2カ月以上の診断薬
7食品衛生法食品概ね10kgの食品
調理器具1個以上の機器
食器客観的に個人使用を超える数量の食器

上記の表の右側【税関でひっかかかるケース】に注目してそれに該当しない、越えないようにすることで税関でひっかかるケースは回避できます。

税関で引っかかった商品はどうなるのか

税関でひっかかった商品はどうなるのか

税関でひっかかった商品はどうなるのでしょう。ひっかかった内容によって対応が変わります。

1.商品の値段が不明(不明瞭)なとき

商品の値段が不明(不明瞭)という理由で税関にひっかかった時は、商品代金の根拠を示すことで輸入できます。通関業業者や税関へ購入明細など価格の根拠を提出しましょう。価格がはっきりすればすんなりと輸入できます。これによる通関業者や税関からの手数料やペナルティは基本的にはありません。

尚意図的に値段を下げて税金逃れをしようとした場合は、通常より高い税金を課せられることがあります(過少申告加算税/重加算税→それぞれ増加税額の10%/35%を加算)。しかし通常の海外通販では考えにくいです。

2.商品に輸入規制がある場合

カテゴリー税関でひっかかる商品対応
1偽物(商標権侵害)偽ブランド品没収
2大麻関係幻覚成分の混入した大麻製品放棄
3植物性商品生のコーヒー豆
ハーブ
スパイス
ゴマ
1.返送
2.廃棄
4動物性食品ジャーキー
ハム
〇〇コンソメ
カレーなど肉が入った缶詰
1.廃棄
2.返送
5武器に該当する刃物・刃渡り5.5センチ以上の剣
 ダガーナイフ
 ダイバーズナイフ
 スローイングナイフ
 スライディングナイフ
・あいくち(ドス)
・飛び出しナイフ
1.廃棄
2.返送
6化粧品1品目24個以上の化粧品1.返送
2.廃棄
3.一部輸入
7医薬品、医薬部外品1カ月若しくは2カ月以上の医薬品同上
8家庭用医療機器1個以上の機器同上
9体外用診断薬2カ月以上の診断薬同上
10食品概ね10kgの食品同上
11調理器具1個以上の機器同上
12食器客観的に個人使用を超える数量の食器同上
対応:数字は可能性が高い順の対処方法

規制されている商品を輸入しようとした時、輸入数量が決められている商品を誤って規制個数以上に輸入しようとした時、「没収」「放棄」「廃棄」「返送」「一部輸入」の対応が必要になります。

「没収」「放棄」「廃棄」

「没収」「放棄」「廃棄」の場合商品は戻ってきません。商品は税関や検疫所を通じて廃棄されます。

「返送」

「返送」の場合は購入元に返送することができます。そのため商品代金は返金されるのが一般的です。ただし返送料金を誰が払うのかという問題が残ります。基本的には購入者が支払うことになりますが、国際宅配便では返送料はとらないケースもあります。

「一部輸入」

「一部輸入」とは、例えばファンデーションを25個輸入しようとして薬機法の個人使用は24個以内という規制にかかり、24個だけ輸入し1個は廃棄/返送するという方法です。方法としては可能ですが荷物を2つに分ける行為は国際貨物では非常に手間のかかる作業です。相応の手数料を要求されることになりますので、全量を返却する費用の方が安くなるケースが多いです。

それぞれの対処方法など詳しい解説は上記リンクの各記事を参考にしてください。

税関でひっかからない為にやるべきこと

税関でひっかからない為にやるべきこと

税関でひっかからない為にやるべきこと2点

・商品の購入数量ルールを把握する
・「ニセモノ」が多い商品「ニセモノ」が混ざるサイトを把握する

商品の購入数量ルールを把握する

税関でひっかかって商品が輸入できないケースは何らかの法律に抵触しているケースです。あらかじめどんなルールがあるのかは個人通販であれば上記の表の範囲で何とかなるのではないかと思います。これを頭に入れて海外通販をすれば多くの税関トラブルは回避できると思います。

税関でひっかかってしまった場合の対応はあくまで対処方法。トラブルになってから対応しても商品は帰ってこない、高い手数料を払うなどに繋がってしまいます。

上記の簡易な表のルールでいいので頭に入れておきましょう。殆どのトラブルのケースを回避できるはずです。

いろは
いろは

買う前にチェックが大事だよ!

「ニセモノ」が多い商品「ニセモノ」が混ざるサイトを把握する

「ニセモノ」を掴まされないというのは海外通販では重要なテーマです。商品を税関で没収されるということはもちろん痛いのですがそれ以上の影響を考えましょう。偽物を販売しているサイトは情報を盗むようなサイトかもしれません。また個人輸入した医薬品が「ニセモノ」なら健康被害につながるかもしれません。化粧品がニセモノだったら?どうでしょう。と書くといたずらに海外通販を怖いものと煽ってしまうような内容になってしまうのですがそうではありません。

本物をしっかり見極めて買えばいいだけの話です。本物を買う方法は海外のWebサイトの特徴を知ることで簡単にわかります。また税関で公表されている「ニセモノ」商品の内容、「ニセモノ」が送られてくる地域などを頭にいておくとよいでしょう。詳細は以下の記事を参考にしてください

海外通販で偽物を買わない方法
ニセモノが多いブランド一覧

まとめ

税関でひっかかる商品、パターンのまとめ

税関でひっかかる商品、パターン

・商品価格が不明瞭
・商品を輸入する数に制限がある
・商品がニセモノの可能性

ひっかからない為に

・商品規制ルールの大枠を理解する
・ニセモノが多い商品と安全なサイトを把握する

いろは
いろは

リンク記事をしっかり読んでもらえればかなり詳しくなりますよ!

この記事を書いた人
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いろは

貿易のプロ【通関士】として20年のキャリアがあります。扱ってきた商品は数万件、数千種類以上。法人、個人事業主、個人通販すべて対応可能です。仕事以外で個人的に海外通販も楽しんでいます。最近個人の海外通販(個人輸入、輸出)が激増して色々な質問やトラブルが増えました。このブログでは個人の方が安心して海外通販を楽しめるように、規則、手順、安全なサイト、本物の商品の見つけ方を発信しています。個別の質問も受けてていますのでお問い合わせからメールしてください。匿名可能です。

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