個人使用で買った偽物も税関没収へ:衝撃のルール変更で起こる事

海外通販でのトラブル
ミー哉
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偽物を個人が買って輸入するときの罰則ルールが変わったって?

いろは
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いつになく真剣だね。そう、まだ一部準備中だけど大きくルールが変わっているよ。個人輸入にはかなり大きなルール改正だからちゃんと知っておこう。

この記事では以下のことが理解できます。

  • 個人輸入で買ってしまった偽物商品が税関でどうなるのかを知ることができます。
  • これまでの税関没収のルールと変更されたルールの違いについて解説します。
  • 偽物を個人輸入で購入してしまった場合の罰則と今後どうなるのかについて解説します。

※2022年10月1日関税法の改正、施行されました。これに関連する記事を複数書いています。
海外通販の偽物摘発が強化:根拠、予想、抜け穴は?
税関でひっかかった!コピー商品、偽物を買った時にやるべき対処法

個人輸入で買ってしまった”偽物”商品は税関でどうなるのか

個人輸入で買ってしまった”偽物”商品は税関でどうなるのか

偽物と認定された商品は個人用途でも税関没収になります

今回記事にしたのは個人輸入(個人使用)のルールで大きな改定があったからです。

今までは

個人輸入の場合は意見を申し立てれば偽物(コピー商品)であっても輸入することができました。

しかしついに特許法の改正(2022年4月1日施行)と、今年中に法案提出される予定の関税法改正により個人用途であっても輸入品の偽物は没収されることになりました。

2022年改正:これまでの税関没収とこれからの税関没収比較【個人】

これまでのルール/これからの税関没収ルール

2-1.これまでのルール/今後の税関没収ルール

今までの流れ

知っている人は知っている。知らない人は知らないルール。実は個人が偽物を購入てしまった場合でも、税関に意見書を提出し個人使用という事が認められれば輸入できることがありました。商標権の規定上取り締まりの実効性は低く実質的に輸入可能の状態でした。

これからの流れ

・商標権は改正済み
2022年度中(2023年3月31日まで)に法律が整備され税関の取り締まり手順が確定する予定
→2022年10月1日に関税法改正(施行)がされます。

個人使用の商品が没収されるのはいつからか

2.2個人使用の商品が没収されるのはいつからか(考察)

法律上(商標権)は2022年4月1日から取り締まり可能

本格的な強化は関税法改定後

2022年10月1日がターゲットの日になりました

商標権改正は2022年4月1日に施行されました。従って現時点でも税関はこの法律根拠に基づいて取り締まりをすることができます。

ただし、税関が個人の輸入者に対しどのように調査するか、なにを調査するのか?という規定がありません。これは関税法の改正で担保されると思われます。

現在でも取り締まりはできますが、実質的には関税法が改定されて施行される日以降の規制強化が目玉ではないかと思います(これは私の考えです)。関税法の施行は2022年度中となっています。

既に商標権の法律は改正されて個人使用での取り締まりが強化されるのでは?という記事も見かけます。ただし税関が個人の商標権侵害を強化するという発表をした形跡は今の時点ではありません。
→2022年9月以降税関HPで公表&報道されるようになりました。

以下の記事は雑学的になりますが

なぜ今までは個人使用の輸入に対して取り締まりができていなかったのか?そして今後できるようになった理屈は?を理解できるように書きました。知っておけば今後個人通販をする中でも何かの役に立つかもしれませんので興味があれば一読ください。

商標権侵害の商品が個人使用でも没収できるようになった根拠

2.3.商標権侵害の商品が個人使用で没収できるようになった根拠

商標権侵害

これまでは個人使用の輸入であればたとえ偽物であっても個人目的いう意見書を提出することで実質的な輸入が認められてきました。これを理解するには商標権とは何かということを理解する必要があります。

偽物(商標権侵害商品)を輸入してしまうときに抵触する法律は

・商標法
・関税法

の2つがあります。偽物を輸入してしまう際に”商標を犯す””商標を犯したものを輸入する”という2つの罪が発生します。

商標は以下のように規定されています。

商標法商標とはとして商品を生産し,証明し,
又は譲渡する者が,商品について使用をするもの

商標を使う事:商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し
,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,
輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為
関税法「商標権を侵害する物品」を輸入してはならない

商標法では”業”として・・という規定があります。つまり”業(商売)ではなく、”個人で使用する場合は商標ではない”という理屈になります。

また”輸入”という行為は”商標を使う事”であると規定されています。しかしそもそも商標を使っていないのだから商標権の侵害はしていないという解釈でした。

また関税法は、商標権を侵害していなければ罰則はありません。

よって個人が輸入する偽物は商標権を侵害していない。とされていました。

商標権に追加された一文

しかし今回商標権の法律が改定され以下の文言が追加されました。

商標法・商標とは:業として商品を生産し,証明し,
 又は譲渡する者が,商品について使用をするもの

・商標を使う事:商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,
 引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,
 又は電気通信回線を通じて提供する行為

輸入する行為には、外国にある者が外国から日本国内に他人をして
 持ち込ませる行為が含まれる⇒NEW!!
関税法「商標権を侵害する物品」を輸入してはならない
2022/4/1商標法追加

商標法の改正で”輸入”という行為の解釈が拡大がされました。


今までは輸入という行為は

・日本に住むものが日本国に商品を持ち込む行為(業者、個人)
と規定されていました。

しかし今回追加で

・海外の事業者が日本に持ち込ませる行為も輸入という(←追加)

という規定が追加されました。このことにより偽物を販売して日本に持ち込ませようとした事業者が商標権を侵害。個人で海外業者から偽物を購入した場合でも偽物の差し止めが可能になりました。

今後は

輸入者が個人使用で偽物を掴まされた場合、罰則を受けることなく商品は没収される。

という形になります。まどろっこしいですが商標権の立法趣旨から個人への商標権侵害を規定するのは難しいようです。

商法権改正は2022年4月1日施行されました。これにより関税法でも商標権を侵害した個人の商品を取り締まれるようになりました。しかし関税法の改正はまだされていません。報道によると2022年度中に施行できるように法案提出とのこと。

実質的な強化は関税法改正の後、ではないか?

商標権が改正された段階で商品の没収は可能になりました。ただし今回改正された法律では海外の事業者から購入した場合に限定されます。多くの個人輸入に網がかかりますがそれでも、差出人が親族、知人である場合は今後も模倣品の輸入は意見書の提出で輸入できる可能性があります。

偽物認定の為、税関は輸入時に輸入者とやり取りをしなければなりません。その為には関税法も改訂し、模造品が疑われる商品が見つかった場合、差出人が親族、知人であることを証明する書類を個人に求める職権を盛り込む。輸入した人に対し、商品を入手した経緯などを示させる等の対応ができるように手当する必要があります。

よって本格的な強化はこれからではないかと思っています。

偽物を個人輸入で購入してしまった場合の罰則と今後の対応

個人が偽物を輸入してしまった際の罰則

個人が個人用途で偽物を輸入しようとした場合の罰則:なし

個人が意図せずに偽物を輸入しようとした場合の罰則はありません。今回の改正では海外の事業者が商標権を侵害しているからです。商品が届かないのは罰則といえば罰則といえますが。

ただし何度も輸入を繰り返す、調査により(正規商品を)転売をしている実績がある、意見書で虚偽の申し立てをするなどの実績があれば輸入者自身が商標権侵害者と疑われる可能性がありますので注意してください。

商標権侵害の刑罰は10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金。懲役刑と罰金刑の両方が処されることもあります。ご注意を!!

今後の対応方法

  1. 税関から認定通知書が届く
  2. 商品を放棄する旨の書類を税関送付
  3. 税関没収
  4. 販売先、販売サイト若しくは支払い先に返金交渉をする

今後偽物として税関から認定手続きの書類が届いた場合、商品を輸入することはできません。また偽物については、権利者が許さない限り海外への返送も禁止です。基本的にはすべて没収されると考えておきましょう。従って販売先、販売サイト、あるいは決済者と交渉して代金の返金を求める事になります。
今後はより信頼できる販売先、運営会社、決裁機関を使う事が大事になってきますのでご注意ください。

おまけ:悲願?取り締まりは強化される!?

個人輸入に対する商標権の取り締まりについては、税関への提言として平成16年の資料がWeb上に残っていました。このころから個人輸入に対する取り締まりを強化すべきだと意見されています。また令和3年の関税法改定についての提言でも個人輸入への取り締まり強化を強く求める提言がされています。

商標権の権利者からすればようやく・・という感じでしょう。現在はそのころの数倍の個人輸入がされています。多くの商標権侵害の案件は個人輸入や小口輸入という指摘もされています。この背景を考えると関税法改定後はより強力に取り締まりが強化されると思われます。

まとめ

偽物を個人使用で輸入した時はどうなるのかのまとめ

・個人用途貨物でも偽物(コピー商品)の輸入は没収の対象になる
・2022年4月1日の商標権改正ですでに取り締まりできる状態
・2022年度中に関税法の改正でより厳格な運営になる可能性が高い

いろは
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この記事を書いた人
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いろは

貿易のプロ【通関士】として20年のキャリアがあります。扱ってきた商品は数万件、数千種類以上。法人、個人事業主、個人通販すべて対応可能です。仕事以外で個人的に海外通販も楽しんでいます。最近個人の海外通販(個人輸入、輸出)が激増して色々な質問やトラブルが増えました。このブログでは個人の方が安心して海外通販を楽しめるように、規則、手順、安全なサイト、本物の商品の見つけ方を発信しています。個別の質問も受けてていますのでお問い合わせからメールしてください。匿名可能です。

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