個人輸入(海外通販)で植物検疫にひっかかる食品/かからない食品

海外通販の税関ルール
ミー哉
ミー哉

ネココーヒーを個人輸入したいにゃ!でも植物検疫とかなんとか聞いたことがあるよ。コーヒーって輸入できるの?検疫って何?どんな商品に注意したらいいの?検疫に引っかかった商品ってどうなるの?!教えてにゃ!

いろは
いろは

質問・・いっぱいだね。植物や植物由来商品は検疫を受ける必要があるよ。そのなかで植物性の食品はトラブルになりやすいんだ。輸入しやすいものと、しづらいものがあって少し区別がしにくいんだ。

今回は植物検疫にひっかかりやすい植物性食品商品の解説をするのでしっかり理解しておいてね!

いろは
いろは

ネコ、コーヒーってあるの・・?

ネコはコーヒー飲んじゃダメ!

個人通販で心配なのが、商品が税関で止まること。時には商品が手元に届かない場合もあります。そこに大きく関係するのが「検疫の壁」です。検疫は税関と並び日本を守る大切な壁で、禁止商品がしっかりと規定されています。規制ルールをしっかりと理解することでトラブルは回避できますのでしっかり理解してください。

この記事では以下の内容が理解できます

  • 個人輸入(海外通販)の植物検疫ルール
  • 個人輸入で植物検疫にひっかかる食品、ひっかからない食品
  • 個人輸入で植物検疫にひっかかったら商品はどうなるのか

個人輸入(海外通販)の植物検疫ルールの概要

検疫とは?

1.1.検疫とは何か

「検疫」とは〝「伝染病を予防するため、その有無について診断、検査し、伝染病の場合には消毒・隔離などを行い、個人の自由を制限する行政処分」”広辞苑”とあります。

国内に持ち込まれる人や商品で伝染病の可能性がある人、動植物、商品は検疫を必ず受けなければなりません。

日本国内の検疫の種類

種類対象規制の対象担当
検疫人の伝染病厚生労働省
検疫所
植物検疫植物植物の病害虫農林水産省
植物検疫所
動物検疫動物・畜産物動物の伝染病農林水産省
動物検疫所
輸入食品監視食品飲食で害のある物厚生労働省
検疫所
輸入食品監視は厳密には検疫ではありません。

海外通販の場合は上記の表に該当する商品を輸入しようとすると、検疫の検査を受ける必要があります。検疫検査は検疫所が実施します。これは税関検査とは違う観点でのチェックになります。

税関検査は不正な商品の持ち込み、検疫など規制のかかる商品の発見、適正な調整を目的にしているのに対し、検疫検査は検疫対象商品に対し病害虫、伝染病の心配のない商品かとうかを入念にチェックする検査になります。

個人輸入の動物検疫記事はこちら
個人輸入の食品監視記事はこちら

海外通販の個人輸入での検疫ルール(植物検疫)

1.2.海外通販の個人輸入での検疫ルール(植物検疫)

病害虫が付きやすい「植物」や「植物由来の商品」は輸入禁止もしくは植物検疫を受けなければならない個人特例なし個人通販でも輸入は簡単ではない

・ただし「植物由来商品」で病害虫が付きにくいのものは植物検疫を受けなくてもいい

植物検疫の目的

植物に有害な病害虫の侵入・まん延を防止し、日本の農業と緑を守ることを目的に輸出入植物の検査を実施。

植物検疫所HP

先に検疫とはなにか?でも少し触れましたが、植物検疫の目的は上記のように規定されています。病害虫の侵入防止が検疫の目的であるため、個人使用であっても検査が課せられます。基本的には個人輸入(海外通販)ではハードルが高い商品になります。

しかし植物検疫はすべての植物性の商品に対して課せられるものではありません。植物性の商品を検疫カテゴリーで分けると以下のように分類できます。

植物性商品
植物検疫分類
輸入可否個人通販
輸入禁止品輸入できない個人通販できない
検疫対象品条件付きで輸入できる個人通販に不向き
検疫対象外品検疫の必要なし個人通販可能

病害虫が付きにくい植物性由来の商品であれば検査は不要とされています。代表的なものとしては製茶、製材された木材、組み立てられた家具などです。

税関トラブル(検疫トラブル)を避けるためには、どの商品が病害虫が付かない為検査が不要とされているのかを知っておけばOKです。

個人輸入で植物検疫にひっかかる食品、ひっかからない食品(一覧)

2.個人輸入で植物検疫にひっかかる食品、ひっかからない食品

輸入禁止の植物性食品

2.1.輸入禁止の植物性食品

植物検疫輸入禁止品
土のついた植物
特定の地域から発送された特定の植物
特定の地域を経由して発送された特定の植物
病気の発生状況により地域や植物は頻繁に変わります。詳しくは植物検疫所HPを参照ください。

商品に”土”が付いている場合、輸入できません。また特定の地域の植物(食用でも)は検査を受けても輸入できません。

植物検疫を受ける必要がある植物性食品

2.2.植物検疫を受ける必要がある植物性食品

*植物検疫が必要
植物性の食品
植物検疫が必要
植物性の食品
果実:以下の状態全て
(生鮮、冷凍、乾燥)
スパイス
野菜:以下の状態全て
(生鮮、冷凍、乾燥)
ハーブ
穀類菜種
豆類ごま
未焙煎のコーヒー豆植物性の漢方薬原料

これらの商品は海外通販で個人使用として輸入する場合でも植物検疫所の検査を受け合格することが必要です。また日本の検疫所での合格を受ける為には、海外の検疫で合格した証明も必要になります。

上記の商品は海外通販には不向きな商品といえます。購入する場合は専門輸入代行業者を経由しての購入をお勧めします。

植物検疫に該当しない植物性の食品

2.3.植物検疫に該当しない植物性の食品
通販で買っていい商品!】

植物検疫の必要がない植物性食品
製茶乾燥、加熱、発酵などの加工処理が行われた緑茶、紅茶、ウーロン茶等のお茶
処理された植物:アルコール、砂糖、塩、酢酸などにつけられたもの
香辛料:乾燥して小売り用の容器(缶詰、瓶詰、アルミ容器等)に密封されたもの
乾果実ただし16種類のみ
あんず、いちじく、かき、しなさるなし、すもも、なし、なつめ、なつめやし、
パイナップル、バナナ、パパイヤ、ぶどう、マンゴー、もも、りゅうがん
まつたけ、しいたけ等食用のキノコ類
焙煎されたコーヒー

これらの食材商品は植物性であっても植物検疫の対象にはなりません。海外通販に向いている商品になります。食用のキノコ類も植物検疫には該当しません。ただしどの商品も土がついていれば輸入禁止になります。

注意)食品の輸入になります。食品は個人特例により10kg程度までは規制なく輸入することができます。しかし個人使用以外(販売、転売、プレゼント等)の輸入の場合は食品の検査が必要になります。

食品輸入の詳しい規制はこちら

個人輸入(海外通販)で植物検疫にひっかかった商品はどうなるのか

個人輸入で植物検疫にひっかかった商品はどうなるのか?

輸入禁止品

商品が輸入禁止品の場合:廃棄処分

商品が植物検疫の輸入禁止品であった場合は廃棄処分の指示がでます。この場合は検疫所の指示に従うことになります。廃棄費用は検疫所から請求されることはありませんが廃棄に立ち会う業者から手数料がかかる場合があります。

検疫検査商品

商品が検疫検査品の場合:「廃棄処分」「返送処分」のいずれかの対応になる可能性が高い。

A.現地の検疫証明書を取っている場合

検疫を受けるつもりで商品を輸入しようとする場合(例えば未焙煎のコーヒー豆等)は、現地側の検疫証明書を取得し発送していると思います。この場合は輸入することができます。

B.現地の検疫証明書がない場合

この場合は植物検疫で不合格になる可能性が高くなります。対応については運送してきた業者により若干対応が変わります。

B.1.国際郵便で配送されてきた場合

国際郵便で配送された場合で検疫に抵触する商品があった場合、検疫所から購入者(輸入者)に連絡が入り商品の詳細などを確認されます。基本的に現地の証明書がない為殆ど輸入することができません。ただし、病害虫の付着等がないことが確認できた場合はまれに輸入できるケースもあるようです。

輸入できない場合は返送又は廃棄処分となります。返送の場合返送費用が発生します。

B.2.国際宅配便(民間の運送会社)で配送されてきた場合

この場合は運送業者(通関業者)が検疫所とやり取りを行います。購入者への連絡は通関業者から入ることになります。この場合も商品の詳細を確認され最終的に検疫所が輸入できるかを判断します。郵便と同じで基本的には輸入することができませんが商品の状態や病害虫がいないことの確認が取れれば輸入できることもまれにあるようです。返送費用、立ち合い費用、廃棄費用のいずれかがかかる可能性があります。

~豆知識~なぜ検疫禁止品が買えてしまうのか

検疫が必要な商品は通販サイト側で購入できないようにしてほしいところ。また国際郵便や国際宅配便側も検疫証明書がない商品は受託時に受託拒否をしてほしいところ。ではあります。

国際郵便は発送時に注意喚起として検疫貨物の発送に注意を促しています。国際宅配便の会社も検疫貨物は受託しない会社も多くあります。

しかしなぜか日本に届いてから「輸入できません」「配送できません」となります。

買うときか、現地出荷の時におしえてほしい・・

これには理由があります。例えばドイツとフランスは陸続きの為この国同士の検疫は比較的簡易です。フランス⇒日本の検疫の基準とは大きく異なります。

実は出品しているWebShop側も、運送業者も世界中に配送するため国ごとの検疫ルールを完璧に把握するのは難しいのが現状です。その為発送国の税関や、日本の税関まで商品が届いた時に検疫が必要とわかって慌てることになります。

慌てない為にも通販でよく買われる商品のルールを知っておくことは大切です。
世界中のルールを覚えなくても大丈夫。知っておいた方がいいのは「日本のルールだけ」です。

まとめ

個人輸入(海外通販)で植物検疫にかかる食品

  • 個人通販であっても植物性食品は検疫を受ける必要がある
  • 病害虫がつく可能性のある植物由来の食品商品が対象
  • 検疫検査の商品は、廃棄、返送につながる可能性が高い
  • 病害虫がつかない植物由来の商品を把握しておく
いろは
いろは

コーヒーは焙煎されていれば検疫規制なく輸入できたね!

この記事を書いた人
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いろは

貿易のプロ【通関士】として20年のキャリアがあります。扱ってきた商品は数万件、数千種類以上。法人、個人事業主、個人通販すべて対応可能です。仕事以外で個人的に海外通販も楽しんでいます。最近個人の海外通販(個人輸入、輸出)が激増して色々な質問やトラブルが増えました。このブログでは個人の方が安心して海外通販を楽しめるように、規則、手順、安全なサイト、本物の商品の見つけ方を発信しています。個別の質問も受けてていますのでお問い合わせからメールしてください。匿名可能です。

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